揺れる島、それでも家族に会いたい――避難住民16人、悪石島へ帰島 十島村「個人の判断を尊重」 トカラ群発地震は累計2120回超に

2025/07/17 05:45
悪石島に帰るためフェリーに乗り込む住民=16日午後9時すぎ、鹿児島市本港新町の南ふ頭
悪石島に帰るためフェリーに乗り込む住民=16日午後9時すぎ、鹿児島市本港新町の南ふ頭
 トカラ列島近海の群発地震を受け、十島村悪石島と小宝島から島外避難していた67人のうち、帰島を希望する悪石島の16人は16日夜、村営船で鹿児島市の鹿児島港を出港した。17日朝に到着する予定。16日は午後10時までに、悪石島で震度4の地震が3回あり、震度1以上は計50回観測した。6月21日からの累計は2126回となった。

 村は震度4以上が5日間発生しなければ希望者を帰島させる方針を示していたが、震度4の地震が相次ぎ判断延期が続いていた。村は方針を継続するが、「あくまでも目安で強制ではない」とし、今後も住民の希望に応じ随時帰島させる。

 久保源一郎村長は16日の会見で「今後も基準日前に帰島を望む住民が出てくることも想定している。個人の意向を十分尊重したい」と話した。交通費は災害救助法の適用範囲で全額公費負担する。16日に新たに2人が鹿児島市へ避難し島外避難は51人となった。

 村によると、帰島する16人は未就学児〜80代の男女。漁業、農業に携わる住民や、義務教育学校悪石島学園に通う島出身の児童と教員がいる。鹿児島市のホテルや親族宅に滞在していた。避難生活の疲れを訴えたり、島に残る家族を心配したりする声があったほか、漁船の陸揚げといった台風対策のために、帰島したいとの要望があったという。

 16人は16日午後9時ごろ村営船に乗り込んだ。係留したままの漁船が心配で帰島を決めた70代男性漁師は避難生活について「少し疲れたが夜よく眠れた。支援がありがたかった」。島では依然地震が続発しており「電気やガスが使えなくならないかが心配。早く収まってほしい」と語った。

 福岡管区気象台によると、16日の午後10時までの地震の内訳は震度4が3回、震度3が4回、震度2が20回、震度1が23回だった。

 震度4は午前2時15分ごろと午後3時5分ごろ、午後3時14分ごろ発生。いずれも震源はトカラ列島近海で、震源の深さは約20キロ。地震の規模はマグニチュード4.6、4.3、4.1と推定される。

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