モササウルス類の復元図((c)山本匠)
鹿児島県薩摩川内市は23日、下甑島の白亜紀後期(約8000万年前)の地層から、海生は虫類、モササウルス類の骨の化石が見つかったと発表した。同類のうち世界で米国の3例しか発見例がない「セルマサウルス」とみられ、専門家は「分布域や生息年代を大きく更新する発見」と評価している。
見つかったのは、あごの関節を構成する「方形骨」という骨の化石で、高さ9センチ、幅4.5センチほど。2022年7月に同市鹿島で実施した集中発掘調査で、当時市の学芸員だった三宅優佳さんが発見した。
モササウルス類を研究する米シンシナティ大学の小西卓哉准教授が23年、島を訪れた際に突起や曲がり方などの特徴に気付いた。米国の3例は8300万年ほど前の地層から見つかっており、今回は最も新しいセルマサウルスの発見となる可能性がある。
モササウルス類は恐竜ではなく、海に住んだ大型のトカゲの仲間。全長3〜11メートルで、白亜紀末に恐竜とともに絶滅したといわれる。今回化石が見つかった個体は4〜5メートルと推定される。
市役所で記者会見した小西准教授は「北米から離れた日本で見つかったことに非常に驚き、興奮している。進化の歴史を知るきっかけになる」と話した。三宅さん(兵庫県立人と自然の博物館研究員)は「世界的な貢献ができてうれしい。甑島でしか分からない発見を今後も期待できる」と話した。
化石は24日から同市の博物館「甑ミュージアム」で特設展示する。