84歳でソロリサイタルを開く野崎勉さん(左)と伴奏を務めるピアニストの妻稔子さん
鹿児島大学名誉教授の野崎勉さん(84)=鹿児島市=はテノールのチャリティーソロ公演を8月3日、同市のカクイックス交流センターで開く。東京であった全国公募の第2回プリマヴェーラ声楽コンコルソ本選74歳以上の部門で1位になった記念。工学部教授を退官後に声楽を始め、「高齢者の一つの生き方を見せられれば」と張り切る。益金は市内のこども食堂に寄付する。
野崎さんは鹿大の学生時代は男声合唱団に所属。しかし工学部の教員時代は多忙もあり歌から遠ざかった。70歳近くになってから県内の声楽家・又吉秀和さん、大友幸世さんに師事。2020年、今回と同じ一般社団法人主催の大会で奨励賞を受けた。審査員から「声に伸びがある」と評価されたのが励みになり、3回目の挑戦となる昨年5月の大会で頂点に。野崎さんは「トロフィーをもらって賞の重みを感じた」と振り返る。
東京生まれで終戦直後に母の実家の鹿児島市に移った。「ひもじい思いをした。隣近所と食料を分け合って生きられた」。こども食堂への寄付を思い立ったのは、そんな支え合いの経験があったからだという。
環境問題をライフワークとし、中国内モンゴルの砂漠に緑を取り戻す植樹活動はもう20年。舞台ではそうした活動を紹介する時間も設ける。「楽しんでもらうのが一番。とりわけ高齢者が前向きになれるような公演にしたい」と話す。
プログラムはイタリア歌曲より「忘れな草」、シューマン「詩人の恋」など。ピアニストの妻稔子さん(79)が伴奏を務める。午後2時開演。一般2000円、大学生以下1000円(各当日500円増し)、十字屋クロス、山形屋などで販売中。野崎さん=099(255)2556。