72年前に閉山、山ケ野金山から新たな金鉱脈見つかる――金含有量は「優良」基準超え、さらに精密な調査計画 霧島市横川

2025/08/01 05:42
〈資料写真〉山ケ野金山で採れた金鉱石。地元で大切に保管されている
〈資料写真〉山ケ野金山で採れた金鉱石。地元で大切に保管されている
 約70年前に閉山した鹿児島県霧島市横川の山ケ野金山周辺で、金を含む新たな鉱脈が発見されたことが31日、分かった。調査を進めるカナダの鉱物探査会社「アービング・リソース」は、試掘した中から鉱石1トン当たり9.62グラムや45.9グラムを含む鉱脈の一部が見つかったとしている。8月10日、山ケ野ふれあい交流館で住民向け説明会を開く。

 山ケ野金山の東側で、2023〜24年度実施したボーリング調査で発見した。

 鉱石1トン当たりの金量が平均3〜5グラムあれば優良な金鉱山とされる。同社は金脈を正確に特定するため、さらに試掘する。前回調査地点の北東約350メートルで今年4月から新たに掘り始めており、近く2本目が完了する見込み。今後、少なくとも6本の追加調査を計画中という。

 同社鹿児島事務所の宮武修一所長(61)は「調査は初期段階だが、素晴らしい金鉱脈の一部が見つかった」と手応えを語る。一方で、「鉱山開発の判断や埋蔵金量の推定にはさらなる調査をして精度を高めないといけない。今後も地元の皆さんの理解を得ながら進めていきたい」と話した。

 掘削調査は、同社と米国の産金会社ニューモント社、住友商事でつくる特定建設工事共同企業体(JV)が取り組む。事業権益はニューモント社60%、アービング社27.5%、住友商事12.5%となっている。

 山ケ野金山は、江戸時代初期の1600年代半ばに発見された。1953年の閉山までに金28.4トンを産出したとされ、国内歴代7位。現在、日本で唯一商業レベルで稼働しているのは鹿児島県伊佐市の菱刈鉱山のみ。所有する住友金属鉱山(東京)によると、鉱石1トンに含まれる金量は平均約20グラム。

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