運転手に「蒸れる」と不評の帽子を任意に… 熱中症対策に企業あの手この手 ファン付制服支給や日傘利用の推奨も

2025/08/03 06:30
熱中症対策で、脱帽による運転のお知らせを張る南国交通の社員=鹿児島市の同社鹿児島営業所
熱中症対策で、脱帽による運転のお知らせを張る南国交通の社員=鹿児島市の同社鹿児島営業所
 最高気温30度を超える真夏日が続く中、鹿児島県内の企業は熱中症防止に神経をとがらせている。6月からは職場での熱中症対策が義務化されたこともあり、就業規則の緩和やファン付き作業服の支給、日傘利用の推奨など、屋内外に限らず職場の環境整備や注意喚起に知恵を絞る。

 鹿児島市や北薩を中心に路線バスを運行する南国交通(同市)は今年6月、運転手の帽子着用を任意とした。運転席は直射日光が当たり熱がこもりやすい上、バス停ごとにドアが開き冷気が逃げやすいとの声を受け、長年続いてきた慣例を取りやめた。

 同社によると現在、運転手約350人のうち、9割が帽子をかぶらずハンドルを握る。利用者からの苦情はなく、運転手からは「これまでは汗が額にたまり蒸れていたので快適」と好評で、担当者は「より良い職場にして運転手不足解消にもつなげたい」と話す。

 鹿児島市の仙巌園では5月から、霧状の水が出るミストシャワーが稼働している。売店や体験施設前、正面入り口前など、主に入場者向けを想定するものの、売店スタッフの鷦鷯(ささき)涼さん(48)は「見た目も涼しく、より爽やかな気持ちで接客できます」。

 木の剪定(せんてい)など屋外作業が多い仙巌園の庭園管理所では、従業員にファン付き作業服を支給する。黒木俐杏(りあん)さん(20)は「着るのと着ないのでは全然違う。風が通って快適で、作業もはかどる」と笑った。

 小まめな休憩や水分補給、気温や湿度などから熱中症リスクを測る「暑さ指数計」の設置など、猛暑対策はさまざまな業種で取り組みが進む。鹿児島銀行(同市)では営業で外回りする行員に、男女問わず日傘の利用を推奨するほか、自身の体調に合わせた服装で勤務するよう声を掛ける。

 鹿児島労働局によると、2024年の県内労働者の熱中症死傷者は38人で、前年から約2.5倍と急増している。健康安全課の秋山芳徳課長は「各職場の特徴にあった熱中症対策で、猛暑を乗り越えてほしい」と呼びかけた。

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