被爆地で平和教育に取り組む野元祥太郎さん=6日、広島市南区の広島大学付属小学校
広島市南区の広島大学付属小学校教諭、野元祥太郎さん(33)=鹿児島市出身=は、被爆地で平和教育に力を注ぐ。戦後80年の原爆の日を迎えた6日は、同校が児童の登校日に当てている。野元さんは担任する6年児童と教室で黙とうをささげ、改めて平和の尊さを説いた。
「想像することを大切にしてほしい」。午前8時前、児童32人に野元さんが語りかけた。平和記念式典のテレビ中継を映し、児童が真剣なまなざしで見つめた。原爆が投下された午前8時15分には手を合わせて祈る姿もあった。
野元さんは広島大学卒。学生時代、平和活動に関する中高生ボランティアを指導したことなどが平和教育に注力するきっかけになった。小学校教諭となり、専門は社会科。被爆だけでなく、軍都だった広島の歴史も教える。2023〜24年には、主に教師を対象にした平和教育カフェを主催し、教育者の相談にも向き合ってきた。
中継後は全校児童が集まり平和集会を開催。5、6年生が学習発表をし、全員で平和への願いを込めた折り鶴を一羽ずつ折った。「この日、この時間にあった出来事を丁寧に想像する機会をつくることが重要」と野元さんは強調する。
終業後、野元さんは平和記念公園に出向き、原爆死没者慰霊碑前で手を合わせた。「学びをきょうだけにとどめないことが大事。自分ももっと考えていかなければ」。未来を担う児童たちにこれからも平和を伝え続けていく。