〈資料写真〉屋久島町役場
鹿児島県の屋久島町政について報道する地域ウェブメディア「屋久島ポスト」が2021年11月から約3年半、町議会傍聴席での取材を拒まれたのは憲法違反だとして、町に1円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が6日、鹿児島地裁(前原栄智裁判長)であった。原告側は「所属や身分で判断され不平等」と訴え、町は「議長の裁量権の範囲内」として請求棄却を求めた。
町は答弁書で、事実関係は争わないとした上で、憲法14条「法の下の平等」と同21条「表現の自由」に違反しないと指摘。議長は秩序維持のため、日本新聞協会に加盟しているかなど具体的基準を示して裁量権を合理的に行使した上、別室でのモニター視聴やメモなどの取材は拒んでおらず、制限は限定的とした。
訴状によると21年11月26日は議会での録音や撮影を含む取材を認められたが、その後は議長判断で断られた。25年4月に議会へ取材許可を書類申請すると、再び許可を得た。屋久島ポストの武田剛共同代表(57)は「判断に一貫性がなく明確な説明もない。議長裁量の乱用だ」と訴えている。