大雨の影響で水没し清掃作業に追われるコンビニエンスストア=9日午後1時半ごろ、姶良市加治木
8日の記録的大雨に見舞われた霧島市と姶良市は、9日も3万6000戸以上(午後3時現在)で断水が続いた。住民らは給水所に列をつくり、浸水被害を受けた家財の後片付けに追われた。医療機関や商店では業務に支障が出ており、市民生活がまひしている。
霧島市内は約2万戸が断水。陸自国分駐屯地や県内外8自治体の協力で、8カ所に給水所が設けられた。
同市国分中央3丁目の市お祭り広場駐車場では、ポリタンクやペットボトルを持つ市民らが朝から並んだ。同市隼人町神宮5丁目で居酒屋を営む佐藤敏子さん(83)は「水が出なくなり不自由している。今日はできれば営業したい」と水を受け取った。
姶良市でも正午現在、約3万8000世帯のうち約1万7000世帯で断水した。9日は4カ所に給水車を配備。姶良公民館グラウンドで20リットル給水した会社員の福岡武志さんは「昨夜は1時間以上並んでも給水できず帰った。早く復旧してほしい」と疲れた表情を見せた。
断水が続く中、浸水被害の片付けにも追われているところも。自宅が2メートルほど泥水に漬かった霧島市隼人町内の自営業山下誠さん(47)は「家財道具の処分を進めている。水が早く来てほしい」。近くの居酒屋「たかむら」でも店主男性(61)が「畳も家電もだめになった。お盆前で予約の多い時期なのに」と嘆いた。
深刻な水不足の中、霧島市は9日以降、隼人地区で緊急性の高い医療機関を優先し給水車を派遣している。隼人町小田の隼人小田原病院は、併設する介護医療院などで水が出ていない。市外の系列病院から運び、入居者の入浴を見送るなどしてしのいだ。看護部長の道場星子さん(62)は「市の対応に一安心した」。同地区の別の医療機関では外来診療を薬処方のみにしたり、入院患者が簡易トイレを使ったりして対応した。
断水中も通常営業を続けた霧島市内の大手スーパーは、魚調理や洗い物に必要な水を系列店から届けてもらった。姶良市加治木の網掛川近くにあり商品の約7割が水没した「ファミリーマートはとや加治木バイパス店」では、鹿児島市の本部スタッフらを含め約20人が汗だくになりながら商品搬出や店内清掃に取り組んだ。