茶の作法が共有されれば、戦争はなくなる――元特攻隊員だった千玄室さん 鹿児島の関係者、平和への志引き継ぐ

2025/08/14 23:08
鹿屋市が戦後80年の節目に開いている特別企画展で公開されている千玄室さんのインタビュー動画=14日、同市のリナシティかのや
鹿屋市が戦後80年の節目に開いている特別企画展で公開されている千玄室さんのインタビュー動画=14日、同市のリナシティかのや
 元特攻隊員として、鹿屋市にあった串良基地に滞在した経験もある千玄室さんは、鹿児島でも平和の尊さを訴え続けてきた。過酷な戦争体験を語り継ぐ姿に触れた人たちは、教えを後世につなぐ志を新たにした。

 2024年に鹿屋市であった戦没者追悼式で、玄室さんは、友人で戦死した特攻隊員の遺品の茶わんで茶をたてた。戦後80年の事業で玄室さんをインタビューした市ふるさとPR課の櫛間崇史さん(41)は「平和の尊さを伝えたいという強い思いを感じた。握手をしてくれた手にも力強さがあった」と振り返った。

 茶道裏千家淡交会の鹿児島、沖縄、奄美大島の3支所合同で毎年開く茶会に、玄室さんは毎回参加し平和を祈って献茶してきた。奄美群島の日本復帰70年の23年には奄美市を訪問した。

 昨年、鹿屋市で会話したという同会奄美大島支所の福永秀子副幹事長(78)は「戦争で自分だけ生き残ったとのじくじたる思いをずっと抱いていた。一歩自分が引いて相手を尊重する茶の作法が共有されれば、戦争はなくなるとおっしゃっていた。引き継いでいきたい」と話した。

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