日ごろ交通量の多い国道10号が通る網掛橋。たもとの護岸が崩れ、通行止めになっている=14日、姶良市加治木
鹿児島県霧島市と姶良市を中心に甚大な被害をもたらした記録的大雨から15日で1週間になった。県によると、住宅被害は全壊が2棟、床上・床下の浸水が759棟確認された。農業被害は、農地や農業用施設の損壊など約47億6400万円に上る。被害状況は現在も調査中で、今後さらに膨らむ見通し。断水や道路の通行止めは解消されつつあるが、JR日豊線や肥薩線、国道10号の網掛橋は復旧のめどが立っていない。
県本土は8日未明から明け方にかけて線状降水帯が2回発生し、気象庁は霧島市に大雨特別警報を発表。8日の24時間雨量は、同市の牧之原や溝辺で500ミリを超え、8月の平年1カ月の2倍近くに上った。姶良市蒲生町白男では民家の裏山が崩れ、住人の30代女性が亡くなった。
農業被害の内訳は、のり面崩壊など農地が20億9200万円(655カ所)、用水路埋没や農業用水の取水堰(ぜき)破損など農業用施設が26億7030万円(415カ所)。被害は霧島、姶良両市に集中している。農作物は水田への土砂流入で水稲被害が確認されたが、「最も被害が大きい霧島市、姶良市の状況は調査中」(県農政課)で全容は見えていない。
断水は両市で最大3万8640戸に上った。13日までに霧島市全域、14日に姶良市姶良地区で解消し、依然続くのは同市加治木地区の約580戸となった。
流木やごみが流れ着いた霧島市の福山港は撤去作業が14日完了。同市の国分漁港、垂水市の2漁港にも流木が漂着した。いずれも現在は出入港に支障ない。
国道と県道は17カ所で全面通行止めが続く。姶良市加治木の国道10号の網掛橋は大雨による増水で、橋の両端近くの護岸が崩れた。鹿児島国道事務所が橋本体や橋脚の損傷状況を確認している。復旧工事に着手できておらず、通行止め解除のめどは立っていない。
JR九州は運休中の日豊線鹿児島-西都城、肥薩線吉松-隼人で災害箇所の確認を続けている。「復旧にかなりの時間を要する」とし、今後の運行の見通しを15日に公表予定。鹿児島交通は鹿児島中央駅と霧島市の重久車庫を結ぶ路線でバスの台数を増やしている。