最低賃金の改定に向けた審議会の第5回専門部会=21日、鹿児島市の鹿児島合同庁舎
鹿児島地方最低賃金審議会(会長・川口俊一社会保険労務士)は21日、改定額を議論する5回目の専門部会を開いた。労使それぞれが求める引き上げ額について、労働者側が5円低い「83円増」へ修正したのに対し、経営者側は前回からの「64円増」を維持し結論は出なかった。専門部会が6回目以降に持ち越されるのは珍しく、鹿児島労働局によると、記録が残る2012年以降初めて。
これまでの専門部会では、労働者側が88円増の1041円への引き上げを求め、経営者側は中央最低賃金審議会が示した区分目安と同額となる「64円増が妥当」と主張していた。
21日は労働者側が公益委員との二者協議後、「賃上げが実感できるギリギリの数字」として83円増を新たに提示。経営者側は「64円が限界の数字」と譲らず、隔たりは24円から19円差に縮まったものの議論は平行線をたどった。
この日は、最低賃金の発効日を巡る発言もあった。経営者側代表委員を務める県経営者協会の浜上剛一郎専務理事は「大雨被害を受けた事業者も多い。準備期間が必要」として、例年10月初旬が多い発効日の後ろ倒しを主張した。
部会後、労働者代表委員の白石裕治連合鹿児島副事務局長は「最賃の適用が遅れれば、労働者の苦しい生活も長引く」として、早期発効を求めていく考えを示した。
川口会長は「例年より目安額自体も高く両者の隔たりも大きい。慎重に話し合い、差を縮めていきたい」と述べた。20日現在、九州で結論が出ているのは福岡県のみ。川口会長は「他県の様子も注視したい」として、目安額以上の答申が相次ぐ全国の状況を考慮しながら議論を進める方針も示した。
6回目の専門部会は後日、日時を決める。
■最低賃金
パートやアルバイトなどの非正規労働者を含む全ての労働者に適用される時給の下限額。下回った企業には罰金が科される。厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会が引き上げの目安額を示し、各都道府県の審議会が実際の額を定める。2024年度の最高額は東京の1163円。鹿児島は24年度、時給方式になった02年度以降最大の56円引き上げられ953円となったが、全国では青森や長崎と並び39番目。