噴煙を上げる新燃岳=28日午前9時5分ごろ、都城市吉之元町
霧島連山・新燃岳は28日午前4時53分に噴火し、噴煙の高さが火口から5500メートルに達した。鹿児島地方気象台によると、午前9時ごろまで噴煙が3000メートルを超える噴火が続いた。連続噴火は午後2時50分にいったん停止後、午後6時23分に再び発生し、午後10時現在続いている。新燃岳の南側で降灰があり、鹿児島県霧島市や宮崎県都城市でやや多量の降灰が確認された。専門家は土石流に警戒を求めている。
噴煙が5000メートルを超えたのは7月3日以来。噴火に伴い、山体の収縮を示すとみられる地殻変動が観測された。大きな噴石の飛散は確認されなかった。気象台は噴火警戒レベル3(入山規制)を継続し、火口からおおむね3キロの範囲で大きな噴石に、2キロの範囲で火砕流に警戒を呼びかける。
8月28日は鹿児島、宮崎両県の関係機関による霧島山火山防災協議会がオンラインであった。7年ぶりに噴火した翌日の6月23日以降、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量が多い状態が続いていることや、火山灰による土石流発生に警戒が必要なことが報告された。
今後の見通しについて、京都大の石原和弘名誉教授(火山物理学)は「山体浅部の膨張は半年で約1センチとゆっくり進んでいる。噴出したマグマは溶岩流として表出する前に火山灰になる可能性が高い」と説明。桜島のように小規模な噴火が続き、土石流や泥流が発生する可能性を指摘した。
九州大地震火山観測研究センターの松島健教授(固体地球物理学)は取材に対し、火山灰の構成物質に大きな変化がないことを前提に「8月15日から約2週間噴火せず、内部の水蒸気圧が上がり規模がやや大きくなったのだろう」とみる。
噴煙が高く上がったのは上空の風が弱くそのまま上昇したためで、特段大きな噴火だったわけではないとし「火山灰に新鮮なマグマが多量に増えていれば、新たなステージに入ったことも考えられる」と話した。
29日に噴火した場合、午前6時までは北西、午前6時〜午後3時は西への降灰が予測される。