国道上の“ポツンとバス停”ついに移設――しかし…国の勧告を3度拒んだ鹿児島交通はバス停を廃止へ 「苦渋の決断」

2025/08/29 05:51
撤去される仙巌園前のバス停標識。手前は新たに設置された標識=28日午後7時ごろ、鹿児島市吉野町
撤去される仙巌園前のバス停標識。手前は新たに設置された標識=28日午後7時ごろ、鹿児島市吉野町
 鹿児島市吉野町の仙巌園前バス停標識(同市内向き)の移設を国が県バス協会に求めている問題で、同協会は28日、近くの歩道に標識を移転した。停留所を利用する2事業者のうち、移設に反対していた鹿児島交通は同日、「運行の安全性が確保できない」などとして、8月末での同バス停廃止を発表した。

 国土交通省鹿児島国道事務所は8月、設置者の同協会に対し移転措置命令を出した。同月末が期限となっており、同協会は28日夜、車道に残っていた標識を撤去した。

 鹿児島交通によると、(1)バス停やバスベイ(バス停留スペース)が丁字路交差点内にある(2)バスベイから走行車線に戻る際、短い間で2車線分の変更が必要(3)乗客が仙巌園からバス停まで2度の道路横断が必要-を理由に、安全性が確保できないなどと判断した。適切な場所への移設を国道事務所に申請したが許可は得られず、「苦渋の決断」としている。南国交通は移設バス停を利用する。

 仙巌園前付近の国道10号は昨年3月に通行ルートを変更。左折レーンを新設し、磯方面に向かう一方通行の市道は廃止した。それに伴い、バスベイが設けられたが、事業者の賛否が分かれ、バス停が移設されずに残っていた。

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