災害ごみが積まれた集落を歩き、活動場所へ向かうボランティア=28日、南さつま市加世田内山田(有村美千代撮影)
台風12号の鹿児島県本土上陸から28日で1週間がたった。薩摩半島を中心に大きな被害をもたらし、県のまとめによると、住家被害はこれまでの判明分だけで計8市221棟(半壊66棟、一部破損3棟、床上浸水99棟、床下浸水53棟)に上る。復旧への動きは進むが手つかずの所も多数残る。県は28日、大規模浸水が発生した南さつま市に災害救助法の適用を決めた。
南さつま市では、加世田川が氾濫した。浸水は国道270号の加世田武田~加世田内山田間の周辺約35ヘクタール(県調べ)にわたり、最深2メートル近くまで漬かった。
被害の大きかった同市加世田内山田では復旧に向けボランティアが次々現地入り。床上浸水した大迫和子さん(79)宅では濁流で傾いたテラスを4人で持ち上げ元の場所に移した。大迫さんは「1人ではできない力仕事。ボランティアさまさまです」と感謝した。
鹿児島市宇宿2丁目の堂園博幸さん(65)と妻良恵さん(65)は、泥のにおいが残り、災害ごみが積まれた一角を歩き「川から離れた場所でも被害が大きい。手つかずの所もあるようだ」と話した。
いちき串木野市では25日時点で、のり面崩壊や倒木、崩土により市道や河川、農地などで計136件の被害を確認した。市まちづくり防災課は「まだ全て把握しきれておらず増える可能性はある」とみている。
台風が上陸したとみられる日置市では146カ所で土砂崩れが確認され、市道など3カ所で通行止めが続く。国の査定を受けるため、市道など一部の復旧着手は年明けになるという。市の担当者は「不便をおかけしている。う回路があるので、利用してもらいたい」としている。
県による各自治体の被害棟数は次の通り。
半壊66棟(全て南さつま市)、一部破損3棟(鹿児島市、枕崎市、南さつま市各1)。床上浸水99棟(南さつま市90、鹿児島市3、薩摩川内市と南九州市各2、いちき串木野市と指宿市各1)、床下浸水53棟(南さつま市29、南九州市12、指宿市7、日置市2、いちき串木野市、薩摩川内市、枕崎市各1)。