8月8日の大雨で崩落した霧島市福山の橋
鹿児島県内は8月、線状降水帯の発生や台風12号の県本土横断で猛烈な雨が降った。鹿児島地方気象台がまとめた8月の降水量(速報値)は、43地点のうち霧島市や南さつま市など6地点で平年の2倍以上となった。日照時間は平年より多く、短時間で局地的に激しく雨が降る傾向にある。
気象台によると、2倍以上の地点は、霧島市牧之原737.5ミリ(平年比240%)、同市溝辺686ミリ(260%)、薩摩川内市八重山724ミリ(279%)、鹿児島市喜入522ミリ(229%)、日置市515ミリ(252%)、南さつま市467ミリ(212%)。鹿児島市は341.5ミリで平年比152%だった。
線状降水帯は8日未明から朝にかけて2回発生し、気象台は霧島市に大雨特別警報を発表。同市溝辺と牧之原で24時間雨量が500ミリを超えた。気象台の観測地点がない姶良市でも大雨で民家の裏山が崩れ、住人の30代女性が亡くなった。
台風12号は薩摩川内市の西の海上で21日に発生し、日置市付近に上陸後、22日にかけて県本土を横断した。日置市で3時間雨量が観測史上1位となる182.5ミリの記録的大雨となり、南さつま市などで河川が氾濫した。
一方、肝付町や南種子町など平年の雨量を下回った地点もあり、九州南部全体では平年比110%にとどまった。気象台は「8月は台風の影響で平年値が多い」とした上で、日照時間も平年比112%と多かったことから「短時間で激しく雨が降った」と指摘した。
気象台によると、9月も海面水温は高い状態が続き、湿った空気が大気に供給されやすい。フィリピンの東には、発達した対流雲があり、熱帯低気圧ができやすい環境にある。県本土近くで台風に発達するケースもあるため、最新の気象情報に注意するよう呼びかけている。