ステージで熱唱する高島芳倫さん=6月8日、出水市のマルマエホール出水
がんと闘う鹿児島県出水市西出水小学校の高島芳倫教諭(51)=鹿児島市=が、約3年半ぶりに現場復帰した。病は完治していないものの、2学期から3、4年生に図工を教える。「子どもたちの役に立ちたい」と意欲を語る。
宮崎県の旧南郷町出身。鹿児島大学大学院で美術を学んだ。小学校教員となり4校目の西出水小は2017年から勤務。6年生の担任を5年間務めた。22年1月に膵臓(すいぞう)がんが見つかり、のちに休職。23年3月に腹膜播種(はしゅ)でステージ4と診断された。
音楽が好きで治療の傍ら、教え子や保護者らが企画したイベントでギターを手に熱唱。今年3月の余命宣告を乗り越え、6月に出水市で約650人を前に15曲を歌い切った。
高島教諭が上村英樹校長(58)に相談し、8月15日に復職した。上村校長によると、大学時代の専攻を生かし、図工は的確な指導ができると判断。担任が主に教えて、高島教諭は個別指導にあたる計画だという。
1日の始業式後、児童や教職員ら約660人を前にあいさつ。がんになったことや病気は治っていないことを述べ、「自分や家族の命を大切にし、自分らしく生きることを、一緒に勉強したり話したりする中で感じてもらえたら」と伝えた。
高島教諭は取材に「また学校教育現場に戻って来られる日が来るとは思わなかった。みなさんのおかげ」と感謝。「おなかも背中も日に日に痛みが強くなっているが、一生懸命やってきた教師という使命を全うしたい」と語った。