〈県境豚熱イノシシ〉10キロ圏内に霧島、曽於市の一部…県が経口ワクチン散布へ国と協議進める

2025/09/03 21:30
鹿児島県境近くでの豚熱発生確認を受けた対策本部会議で、あいさつする寺田雅一副知事=3日、県庁
鹿児島県境近くでの豚熱発生確認を受けた対策本部会議で、あいさつする寺田雅一副知事=3日、県庁
 都城市御池町で死んだイノシシから豚熱(CSF)感染が確認され、発見地点から半径10キロ圏の「感染確認区域」に霧島市と曽於市の一部が含まれたことを受け、鹿児島県は3日、県庁で対策本部会議を開いた。区域内を中心とした経口ワクチン散布に向け、国と協議していることを報告。飼養衛生管理基準の徹底など防疫対策を申し合わせた。

 都城市では8月30日、イノシシの幼獣2頭の死骸が見つかり、9月2日に陽性を確認した。鹿児島県によると、霧島市と曽於市の感染確認区域内には、8農場が計1万2231頭を飼養している。2日時点で異常は報告されていない。

 県は対策として、生産者にウイルス侵入防止対策を再指導するほか、霧島、曽於両市での野生イノシシの捕獲検査を強化する。ウイルスは土にも含まれているとして、登山客らには下山時に泥を落とすなどの協力を呼びかける。

 経口ワクチンについては2日、国に散布意向を伝えた。今後、実施の有無や散布地点の選定を巡り国と協議を進める。準備期間も含め、開始までに1週間〜10日ほどかかる見込み。

 県内では24年2月現在、387戸計120万頭を飼養。霧島市は25年2月現在14戸3万1425頭、曽於市は同48戸15万8687頭。県によると、県内全ての養豚がワクチンを接種済み。ただ免疫付与には個体差があり、接種後に感染するケースもある。

 県家畜防疫対策課の藏薗光輝課長は「感染イノシシは農場発生の主要な原因の一つ。非常に危機感を持っている」と話した。

 3日はオンラインで緊急防疫対策会議もあり、養豚関係者や自治体職員ら約130人が参加した。

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