鹿児島県内で新型コロナウイルス感染が拡大している。4日発表された8月25〜31日の新規感染者846人を含め、今年の累計は1万人に迫る9692人となった。背景にあるのは、オミクロン株から派生した変異株で通称「ニンバス」の流行だ。重症化しやすい高齢者の感染が多く、専門家は場面に応じたマスク着用や換気を呼びかける。
県によると、8月25〜31日の県内1定点医療機関当たりの感染者は14.84人。5週前に比べ1.6倍に増え、保健所別では鹿屋25.25人、名瀬22.40人、川薩18.67人の順に多い。
鹿児島大学大学院の川村英樹特任教授(49)=感染症学=によると、流行するニンバスは強いのどの痛みやせき、発熱などの症状がある。重症化リスクや免疫回避能力は従来と変わらず、発熱しない人や無症状の人もいるという。
鹿屋市の鹿屋医療センターでは、7月下旬から感染者が増え始めた。湯淺敏典院長(55)は「70〜90代に多く、肺炎になった人もいる。高齢者は亡くなるケースもあるので、特に注意が必要だ」と話す。
8月25〜31日の県内の新規感染者では、60〜69歳が82人と最も多く、50〜59歳81人、70〜79歳80人と続く。湯淺院長は「夏休みが明け、学校で感染が広がる可能性がある。熱がなくてもせきや鼻水があったら、マスクの着用を」と訴える。
川村特任教授は重症化を防ぐ一つの選択肢としてワクチン接種を挙げる。「重症化リスクのある人は早期治療が肝心。体調に不安があれば、かかりつけ医に相談してほしい」と話す。