扇山災害の慰霊碑前で手を合わせる人々=3日、南さつま市金峰町大坂
鹿児島県南さつま市金峰町大坂の扇山地区などで21人が犠牲になった土石流災害から32年となった3日、遺族や住民らが現地の慰霊碑を訪問した。涙を浮かべて当時を振り返り、手を合わせて犠牲者をしのんだ。
扇山では1993(平成5)年9月3日、台風13号の豪雨による土石流が民家を襲い、避難していた20人が亡くなった。慰霊碑には近くの白川の死者1人を含む21人の名前のほか、犠牲となった当時12歳の少年が書いた詩「野原はうたう」が刻まれている。
両親を亡くした原口和弘さん(71)=同町尾下=は「長いようで短い32年だった。災害を忘れないために毎年お参りを続けることが大事」と話した。
金峰更生保護女性会の5人は今年も慰霊碑周辺の草を刈り、花を手向けた。当時は救助隊への炊き出しに奔走したという南敏子会長(82)は「絆の深い地域だった。先日の台風12号で南さつま市が被災したこともあり、改めて災害の知識をみんなで学習したい」と話した。