国分中央高校の(右から)榎園奈桜さん、岩田桃佳さん、椎原月乃さん=霧島市国分中央1丁目の同校
国分中央高校(鹿児島県霧島市)放送部が制作したテレビドキュメント番組「夢に向かって」が、7月のNHK杯全国高校放送コンテストで5位相当の優良賞に輝いた。同校3年で先天性難聴の岩田桃佳さんを紹介する内容で、制作チーフの3年、榎園奈桜さんは「彼女の勇気や努力を伝えたかった」と話す。
岩田さんは幼稚園から中学校まで鹿児島市の鹿児島ろう学校に通っていたが、美容師になる夢をかなえるため、着付けの資格を取得できる国分中央高に進んだ。番組は榎園さんと2年の椎原月乃(るな)さんが2024年12月から半年かけて制作。岩田さんや父親、友人へのインタビューや学校生活の様子、人工内耳の説明などを約8分にまとめた。
岩田さんは番組内で、1人で過ごすことが多かった学校生活が一変したと明かし「普通の友達はどんな会話をするのだろう」「周りの人は受け入れてくれるか、勉強はついて行けるか不安だった」と述べた。岩田さんが支援員のサポートを受けながら授業を受けたり、バレーボール部で汗を流したり、指文字や手話で同級生と会話したりする姿が映し出される。
岩田さんは取材の依頼を「びっくりして心配もあったけれどうれしかった」と振り返る。撮影を終え「この高校に入って良かったと思った」と話した。
全国大会のテレビドキュメント部門には193作品が出品された。「夢に向かって」は、同校放送部のユーチューブで見られる。榎園さんは「これからもたくさんの人に見てほしい」と力を込めた。