通学タクシーを利用する高校生=南大隅町根占川北
鹿児島県南大隅町は9月から、路線バスの便数が少なく鹿屋市内に通学できない佐多地区の高校生を、通うことが可能なバス停に無料タクシーで送迎する取り組みを始めた。高校生や保護者の意見を聞きながら運行を続け、よりよい体制を目指す。
町が町内の交通事業者に委託し、佐多伊座敷の商店街と、鹿屋市に行き来できる根占地区のバス停の間を朝夕1便ずつ、予約制で運行している。町によると、佐多では高校進学を機に家族で町外に引っ越したり、生徒が同市で下宿や寮に入ったりして人口流出が進む。運行によって、地域に残ってもらう狙いがある。事業費は約180万円。
行きは午前6時25分、帰りは午後6時25分に出発し、それぞれ25分程度で到着する。利用する鹿屋工業高校2年の南谷昂慶(あきよし)さんは「送り迎えをしていた親の負担が減ったのでうれしい。これからも活用していきたい」と語った。
町企画観光課の中之浦伸一課長(56)は「今後、進路を決める中学生にとっても、高校選択の幅を広げることができる取り組み。住み慣れた町から通学できる環境を整えていきたい」と話す。
町の公式アプリの登録が必要で、予約はLINE(ライン)で前日までに行う必要がある。町企画観光課=0994(24)3113。