鹿児島市議会は19日、5常任委員会を開いた。市民文教委で当局は、インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷防止や被害者支援策を盛り込んだ条例制定に着手すると報告した。被害者の相談体制整備や、自身が加害者とならないようネットリテラシー向上の取り組みなどを想定する。
2025年度中に条例骨子案を作成する。パブリックコメント(意見公募)を経て、27年3月の市議会第1回定例会に議案を提出する予定。同様の条例は三島村も制定の方針を示した。
市人権推進課によると、8月にあった市人権啓発に関する懇話会で審議し、制定を決めた。懇話会は市長の諮問機関で、市同和協議会や県警サイバー犯罪対策課など委員15人で構成。全員が条例制定に賛成した。交流サイト(SNS)で事実無根の内容を書き込まれたり、プライバシーを侵害されたりする事例が全国的に相次ぐ中、委員からは「加害者も被害者も生み出さないよう条例整備を」「ネットリテラシーは子どもだけでなく大人に対しても重要」といった意見が出た。
市は6月、インターネットでの人権問題についてアンケートを実施。回答した10~70代の市民439人のうち、被害者支援に関する条例が必要だとした人は86.3%だった。
産業観光企業委では、市交通局が交通事業経営計画見直し素案を報告。26年8月から市電子ども運賃を20円引き上げ、100円とする方針を示した。大人の30円値上げと合わせ、運賃改定で26年度約2億円、27年度以降約3億円の増収が見込めると説明した。
25年9月時点での財政見通しも提示した。運賃改定しない場合は資金不足比率が28年度に経営健全化基準(20%)を超える37%、改定した場合は29年度に30.7%となる。