噴煙を上げる新燃岳=8月28日午前9時5分ごろ、都城市吉之元町
霧島連山の新燃岳が7年ぶりに噴火してから22日で3カ月が経過した。断続的に噴火を繰り返し、活発な火山活動が続いているが、霧島連山深部の膨張を示す動きは7月ごろから停滞している。専門家は「噴火のピークは過ぎたのではないか」とみて、堆積した火山灰が引き起こす泥流や土石流への警戒を呼びかける。
気象庁は7年ぶりに噴火した翌日の6月23日、火山ガス(二酸化硫黄)が急激に増加しているとして、噴火警戒レベルを3(入山規制)に引き上げた。噴火は27日以降、断続的に続き、7月3日には噴煙が火口から5000メートルに達した。8月中旬から噴火はなかったが、28日に噴煙が5500メートルに達する噴火が発生。9月7日を最後に再び収まっている。
鹿児島地方気象台によると、霧島連山の地下には深さ7〜10キロにマグマだまりがあり、今年3月ごろから膨張を示すデータが観測された。6月の噴火当初は、2011年や18年のようにマグマ噴火へ移行する可能性も懸念されたが、膨張は7月上旬ごろから停滞。新燃岳周辺の浅いところでも、傾斜計に膨張を示すような変化はない。火山ガスの放出量は9月12日の調査で、1日当たり300トンとやや少ない状態だった。
京都大学の石原和弘名誉教授(火山物理学)は、300年前の享保噴火(1716〜17年)のマグマ噴出量7000万立方メートルと比較し、2011年は2000万立方メートル、18年は1500万〜1600万立方メートルで、合わせて半分ほどが既に噴出したと説明する。今年も噴火が続いており「新たなマグマが供給されてマグマだまりが膨らまない限り、前回(18年)ほど大きな噴火はないだろう」と推測する。
「恐らく噴火のピークは過ぎたが、桜島のように火山灰を噴出する間欠的な噴火は続くだろう」とみて、「これまで降り積もった火山灰による泥流や土石流への警戒が必要だ」と指摘した。