4日の自民党総裁選で、高市早苗氏が女性初の総裁に選ばれた。「経済成長に重きを置く」と主張する高市氏に、鹿児島県内の経済・産業界からは期待や注文が聞かれた。
総裁選で全候補が足並みをそろえたガソリン税の暫定税率廃止。高市氏はこれに加え、トラックやバスが燃料として使う軽油の価格引き下げに意欲を見せる。県トラック協会の鳥部敏雄会長(68)は「物流コストが上がると生産者の負担も増える。特に地方は消費地までの距離が遠い。地方創生の観点からも実現してほしい」と期待した。
「農林水産物の輸出政策への目配りは欠かせない」と訴えるのは、養殖ブリ生産日本一の東町漁協(長島町)の山下伸吾組合長(65)。米トランプ政権の関税政策で無税だったブリは15%課税となった。
高市氏の印象は「生まれ年が一つ違いで親近感を覚える」。今後、首相に選出される可能性が高く、外交面での手腕も問われる。「初の女性首相。堂々とリーダーシップを発揮して」とエールを送った。
「令和のコメ騒動」を受け、石破政権はコメの増産方針を示したが、南さつま市笠沙町のコメ農家の男性(69)は「機械更新や倉庫増設など、新たな投資が負担」と懐疑的だった。増産へ慎重に見える高市氏へ「中小農家も補助金を受けやすくするなど臨機応変な対応を」と求めた。
物価高や賃上げ対策として、高市氏は中小企業や農林水産業などへの支援に言及する。県中小企業団体中央会の小正芳史会長(76)は「これまでの支援策では不十分。価格転嫁や生産性向上に取り組める環境づくりが大事」と指摘する。
一方で、首相となっても野党の協力がなければ予算案は通らない。「裏金問題などは解決したと言えず、議員と国民との認識のずれが不信感を生んでいる。解党的出直しにも実行力を発揮すべきだ」と注文した。