「働く」だけじゃない。”暮らす”を支えたい――定着が課題の技能実習生。南薩4市で進む「まちも動いて紡ぐ」共生の未来

2025/10/05 17:00
売店で店員に質問する外国人の受講者=枕崎市の南薩地域地場産業振興センター
売店で店員に質問する外国人の受講者=枕崎市の南薩地域地場産業振興センター
 鹿児島県南薩地域振興局は南薩4市(枕崎、指宿、南さつま、南九州)に暮らす外国人向けの日本語講座を本年度から始めた。年5回開催し、3年間続ける計画。語学力向上に加え、地元住民との交流や日本文化に親しむ機会を設けることで、外国人材の定着を目指す。

 県などによると、南薩4市には2024年10月時点の推計で計2076人の外国人が居住する。中でも南薩地区は技能実習生の数が県内で最も多い。かつお節工場や養鶏場などで働く技能実習生が、高齢化や人口減少の続く地域で貴重な担い手になっている。

 県と南薩地区の首長らが意見交換する行政懇話会で講座を要望する声があり、同振興局が実施を決めた。初年度の事業費は計378万円で、南さつま市の日本語学校「SLA」が委託を受けた。

 講座は9月から各市でスタートし、2回目の講座は9月21日。枕崎市では南薩地域地場産業振興センターであり、地元のかつお節工場で働くインドネシア人やフィリピン人45人が参加した。センターの売店で「どれが安いですか」と店員に質問をしたり、指定された商品の値段を調べたりしたほか、鹿児島水産高校の生徒と日本語のゲームを楽しんだ。

 職場の同僚3人で参加したフィリピン出身のジョイス・ロマノさん(28)は「難しかったけれど優しく教えてもらえた。また受けたい」と意欲を見せた。

 残る3市の講座でも、地元住民と交流するカリキュラムが組まれ、書道や着物の着付け体験など日本文化にも親しめる内容となっている。SLAの鹿丸あい子事務局長は「職場の同僚だけでなく、他の職場で働く外国人や地域住民とのつながりを持ち、コミュニケーションが取れるようになってほしい」と話した。

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