悪質な訪問販売と勘違いされた。下見してたら通報された…国勢調査員はつらいよ 対面にこだわる手法に疑問の声も続々

2025/10/06 11:07
説明書や郵送の封筒と共に届けられた国勢調査
説明書や郵送の封筒と共に届けられた国勢調査
 5年に一度の国勢調査が8日の回答期限まで続く中、南日本新聞には「夜間に知らない顔の調査員が来て怖かった」「多角的で幅広い質問を用意すべきでは」などの意見が寄せられた。こうした声を受け、「こちら373」のLINE公式アカウントを使ったアンケートを実施。回答者の9割が調査に関心を示す一方、対面で調査票を手渡す手法やマイナンバーカードを活用しないことへの疑問も多数あった。

 アンケートは回答を選択する方式で9月27~30日に実施。339人が回答した。

 改善策として「郵送やインターネット回答を進める」(38.1%)、「マイナンバーカードと連携」(28.3%)が多数。「今のやり方で十分」は16.2%にとどまった。

 国勢調査のイメージについては「結果がどのように活用されるか知りたい」(46.6%)、「自分たちにとって大事な調査だから協力したい」(43.3%)と肯定的な意見が多かった。

 調査員経験者は43人。調査については「残暑の中、配布は大変」(32.6%)で最多。「在宅しているのに呼び出しに応じない」(20.9%)、「受け取りを嫌がる(拒否する)」(9.3%)も多く、負担の大きさをうかがわせた。

 経験者の自由記述では「学生や一人暮らしが多いマンションは深夜以外会いにくい」と会うことの難しさを訴える声も。「悪質な訪問販売と勘違いされた」「下見で配布先を回っていたら警察に通報された」などの苦労も寄せられた。

 調査票の配布・回収方法については「暑い中の作業は大変」(35.5%)、「不在でもポストなどに投函(とうかん)してもらえたらいい」(27.1%)がトップ2を占め、調査員の負担を心配する声が多かった。調査自体も「発熱で休んでいたのに対面を求められうんざりした」「世帯主の氏名や家族の人数を書かされた。個人情報は大丈夫なのか」など違和感を抱く意見が多かった。

 アンケートはさまざまな意見を集めるのが目的で、無作為抽出の世論調査とは異なる。

■「いかに正確な実態を捉えられるか」

 「夜間に知らない人が来て怖い」「配布や調査方法を工夫すべき」といった国勢調査への苦情や要望は、管轄する総務省にも届いているという。

 同省によると、調査は現在住んでいる場所での生活実態把握のため。学生や福祉施設の入居者など戸籍とは異なる場所に住む人も多く、前回調査の5年前から異動実態はないかを正確に確認する必要がある。

 調査票を手渡しするのも、郵送や宅配では居住しているか確実に把握するのが難しく、受け取り拒否で返送されるおそれもあるため。同省統計局は「訪問は3回程度までにし、渡せなかった場合はポストへ投函をお願いしている」とする。

 調査結果は、人口に応じた地方交付税や防災対策の決定、出店計画などさまざまなことの基礎データとなる。統計局の担当者は「いかに正確な実態を捉えられるかで、今後の政策や経済活動の方向性が違ってくる」と強調。「正確な結果が出せるよう、住民同士の協力をお願いしたい」と理解を求める。

鹿児島のニュース(最新15件) >

日間ランキング >