運航を終えた水中展望船さたでい号=南大隅町佐多
鹿児島県南大隅町の佐多岬を巡る水中展望船「さたでい号」が老朽化により、9月末で運航終了となった。エメラルドブルーの海の中を眺めながら進む人気の乗り物で、20万人以上が利用してきた。初代が就航した1990年から35年の歴史に幕を閉じた。
さたでい号は現在2代目で、91年に就航した。全長約13メートル、総トン数は14トン、旅客定員は29人。田尻港発着で1日8便。30分ほどの海中散歩が楽しめた。佐多岬周辺の海中は、色鮮やかなサンゴが密集し、海藻類の群落、色とりどりの熱帯魚のほか、たまにウミガメも見ることができ、多くの観光客を喜ばせてきた。
名称は公募で集まった1300点以上の中から選ばれた「SATA-DAY GO」に由来し、明るい佐多をイメージ。町から委託された浜田千昭さん(69)、優子さん(70)夫婦が20年以上運営してきた。
97年に通算15万人を突破した利用者は近年、2000人弱で推移し、2005~24年度は約5万2000人が乗り込んだ。佐多岬のグランドオープンやNHK大河ドラマ「西郷どん」の影響を受けた19年度には3517人の利用があった。
企画観光課の坂元恵太係長(41)は「多くの観光客を魅了してきた。安全運航に取り組んだ浜田さん夫婦に心から感謝したい」と語った。