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鹿児島大学の小谷知也教授(56)=水産増殖学=や中央大などの研究チームは、絶滅危惧種のニホンウナギが日本沿岸で継続的に減少していると発表した。河川と海洋を行き来するウナギ類は資源動態の把握が難しく、鹿児島県内を含めた多様な漁業データやモニタリング調査から解析した。9月、国際学術誌に掲載された。
小谷教授は鹿児島市喜入の貝底川で、研究のため電気ショックにより生息生物を捕獲し、資源量を調べている。さらに、岡山県や神奈川県など計8水域の漁獲データを集めて解析したところ、7水域で統計的に減少傾向が確認できた。今回、稚魚のシラスウナギは増減がつかめなかったため、データを増やして詳細な解析を進める予定。
ニホンウナギは日本人の食卓になじみが深いが、その資源量は「変わっていない」「絶滅の恐れがある」と評価が割れる。小谷教授は「地域経済に影響が大きい資源保護の在り方や養殖の方向性を考える上で、実態把握が重要だ」と指摘した。