馬毛島を視察する中谷元・防衛相(右)=15日(防衛省提供)
中谷元・防衛相は15日、米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)の移転を伴う自衛隊基地整備が進む鹿児島県西之表市馬毛島を視察した。現職大臣の馬毛島上陸は2024年7月の木原稔氏以来。「通常の部隊視察の一環」として非公開となった。16日の海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿屋市)、航空自衛隊下甑島分屯基地(薩摩川内市)の視察を含め地元首長らとの面会予定はなく、「地元軽視」との声も上がっている。
馬毛島の防衛相視察は過去2回いずれも米国防長官との会談を控えた時期で、会談では整備の進捗(しんちょく)などに触れた。基地整備は米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)移転を伴い、米国の関心も高い。今回は10月下旬、トランプ大統領が来日する見通し。会談などで馬毛島が取り上げられるか注目される。
日米安全保障協議委員会(2プラス2)の共同文書に島をFCLP移転候補地として明記した2011年6月以降、初めて現職大臣が馬毛島に上陸したのは22年4月の岸信夫氏だった。岸氏は5月、米国防総省でオースティン国防長官と会談。馬毛島の基地整備の着実な進展に向け、引き続き日米が緊密に協力していくことで一致した。
木原稔氏は24年7月、基地本体工事が着工して以降初めて現職大臣として馬毛島入り。木原氏はその後、日米の外務・防衛担当閣僚による2プラス2で馬毛島の基地整備の進展を強調した。一方、防衛省は約2カ月後に工期延長を発表。計画より3年遅れ、完成は30年3月を見込む。
防衛省は視察の時期について「大臣と部隊の日程調整の結果」としている。防衛省から各市町への連絡は前日の14日夕だった。西之表市の八板俊輔市長は14、15日、県外出張していた。
中谷元・防衛相は16日、薩摩川内市の下甑島分屯基地も視察する。中谷氏はかつて、一部報道に地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の配備地の一案として甑島を上げていた。