診断は希少がんの一つ…後腹膜肉腫。「自分らしくありたい」――抗がん剤治療をやめた46歳写真家は、何気ない日常の風景に光をもらう

2025/10/16 11:13
暮らしの中で見つけた幸せの瞬間を切り取った作品を展示するやまぐちめぐみさん=霧島市牧園のJR霧島温泉駅
暮らしの中で見つけた幸せの瞬間を切り取った作品を展示するやまぐちめぐみさん=霧島市牧園のJR霧島温泉駅
 鹿児島県霧島市牧園のJR霧島温泉駅で、がん闘病中の写真家、やまぐちめぐみさん(46)の個展が開かれている。牧園での暮らしの中で見つけた「幸せな瞬間」を写したという52点を展示する。31日まで。入場無料。

 やまぐちさんは南日本写真展で多数の受賞歴があり、写真集刊行や写真教室の開催など精力的に活動してきた。2023年3月、希少がんの一つ、後腹膜肉腫と診断された。抗がん剤治療を続けたが、「自分らしくありたい」と今年2月に投薬を中止。病と向き合いながら創作に取り組む。

 個展のテーマ「1ページ目」は「毎朝起きるたびに、新しい朝に感動する。物語の1ページ目を忘れずにいると、何度も始まりを経験できる」との思いを込めた。会場には、田植えを終えた水田に電車と雲が映り込んだ風景や、庭先に咲いたヒガンバナ、紫色に染まる空に浮かんだ飛行機など、感性が光る作品が並ぶ。

 同駅での個展は4月以来。前回の反響が大きく、応援メッセージが数多く届いたといい、やまぐちさんは「癒やされたり、元気になったりしてもらえるとうれしい」と喜ぶ。

 今後の目標は、牧園での暮らしや人に光を当てた新しい写真集を来春にも出版すること。「出版イベントをこの駅で開いて、お世話になった人を招いた撮影会も開きたい」と笑顔を見せた。

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