第5次再審請求へ抱負を述べる八尋光秀弁護団長=18日、鹿児島市の県弁護士会館
鹿児島県大崎町で1979年に男性の変死体が見つかった「大崎事件」を巡り、殺人などの罪で服役し裁判のやり直し(再審)を求めている原口アヤ子さん(98)の弁護団は18日、鹿児島市で会見を開き、5回目の再審請求(第5次請求)を来年1月上旬にも鹿児島地裁に申し立てると明らかにした。
第4次特別抗告審で最高裁の裁判官5人のうち1人が「再審開始決定すべきだ」とした反対意見を参考に、新証拠を積み上げる方針。これまでの再審請求で出した、他殺を否定する死因や死亡時期に関する救急救命医の鑑定、共犯とされる男性3人や目撃者の供述の信用性を否定する心理鑑定などを補強する。法医学や心理学といった多分野の専門家に鑑定を依頼中で、詳細は明らかにしていない。
弁護団長には森雅美弁護士(72)に代わり、福岡県弁護士会の八尋光秀弁護士(70)が就いた。鴨志田祐美事務局長(63)が共同代表に就任し、泉武臣弁護士(52)が新事務局長となった。
弁護団創設メンバーで最古参の八尋団長は「アヤ子さんとは知り合って30年。彼女はこれまでずっと闘っている。供述弱者への取り調べのガイドラインが今もないなど、刑事司法の問題も切り開かなくてはいけない」と抱負を述べた。
鴨志田共同代表は「特別抗告審の反対意見では、これまでの鑑定を高く評価してもらえた。多数意見にすべく参考にし、他殺ではないことを多角的な新証拠であぶり出す」と述べた。
第3次特別抗告審以降、棄却が続くことについては「新旧証拠を総合評価すべきとした判例『白鳥・財田川決定』が今の裁判官に伝わっていない。福井中3殺害事件など、無罪となった事例の論理展開も示したい」と語った。