川内原発に乾式貯蔵施設 九州電力、24日にも国へ申請 使用済み核燃料を一時保管、2029年度運用開始めど

2025/10/23 06:00
(資料写真)九州電力川内原子力発電所
(資料写真)九州電力川内原子力発電所
 九州電力が川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の敷地内で、使用済み核燃料を一時保管する乾式貯蔵施設を整備する方針を22日、決めたことが複数の関係者への取材で分かった。2029年度ごろの運用開始を目指す。24日にも整備に必要な原子炉設置変更許可を国の原子力規制委員会へ申請し、県と薩摩川内市に安全協定に基づく事前協議書を提出するとみられる。

 関係者によると、九電は22日に臨時取締役会を開き、施設を整備する方針を決めた。九電広報は取材に「社内決定についてはお答えできない。国への申請が必要となる場合はお知らせする予定」と答えた。

 乾式施設は、プールで冷やした使用済み燃料を金属容器(キャスク)に入れ、空気の自然対流で冷やす。川内原発で現在燃料を保管しているプールの貯蔵量は9月末現在で1号機7割、2号機8割に達し、31年に満杯となる見通し。搬出先となる再処理工場(青森県六ケ所村)は稼働の延期を繰り返し、保管する施設の確保が課題になっている。

 乾式の整備には規制委の許可が必要となり、県と薩摩川内市は協定に基づき了承するか判断する。九電は使用済み燃料560体(キャスク20基分)程度を貯蔵できる施設を検討しているとみられる。

 川内原発への整備は、14年の規制委臨時会で当時の委員長が「安全確保や危機管理の面から取り組んでほしい」と促したのがきっかけ。九電は22年9月に技術的検討を始めた。今年7月に西山勝社長が県と市を訪れ、「技術的検討は最終段階を迎えている」と説明していた。

■乾式貯蔵施設 使用済み核燃料を再処理工場(青森県六ケ所村)に送るまで、原発敷地内で保管する施設。高温の燃料をプールで一定期間冷やした後、放射線を遮断する「キャスク」と呼ばれる金属容器に入れ、空気で冷却する。水や電気を使わないため、維持管理がしやすいとされる。九州電力は玄海原発(佐賀県)でも計画し、2025年5月に着工、27年度に運用を開始する予定。全国では日本原子力発電東海第2原発(茨城県)や四国電力伊方原発(愛媛県)で導入済み。関西電力高浜原発(福井県)などで計画がある。

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