新型補給機「HTV-X」輸送もするし実験もする 世界が注目する「二刀流」 26日に種子島宇宙センターから打ち上げ

2025/10/24 11:00
国際宇宙ステーション(左)に接近する新型無人補給機「HTV-X」のイメージ(JAXA提供)
国際宇宙ステーション(左)に接近する新型無人補給機「HTV-X」のイメージ(JAXA提供)
 鹿児島県の種子島宇宙センターから26日に打ち上げられる新型無人補給機「HTV-X」は、国際宇宙ステーション(ISS)へ食料や実験装置を運んだ後、宇宙空間を飛びながら新技術の実証試験をする。輸送と実験室の役割を持つ「二刀流」の宇宙船としてデビューする。

 全長約8メートル、直径約4.4メートルの円筒形。幅18.2メートルに広がる太陽電池パネルを搭載し、長期運用を支える電力供給を強化した。開発費は約356億円。

 輸送能力は2020年に引退した無人補給機「こうのとり」の約1.5倍の約6トンに増え、容積も1.6倍に広がった。電源が必要な冷凍庫や実験装置にも対応できる。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の伊藤徳政プロジェクトマネージャは「現時点では米国の補給機よりも輸送量は多い」と説明した。

 1号機は打ち上げから約4日後にISSに到達予定。滞在中の油井亀美也飛行士がロボットアームを使って結合させ、数カ月係留して荷物を搬出する。

 廃棄物を積んで離れた後は、高度500~300キロの低軌道で実験室として運用する。最長1年半にわたり、さまざまな実験や技術実証ができるのが特徴だ。

 今回は高度500キロの地点から超小型衛星を放出した後、高度を下げ軽量の通信アンテナを展開する試験などを行う。HTV-Xは29年までに5回の輸送を予定。2号機以降、人の手を使わない自動ドッキング技術を検討する。

 日本は国際月探査「アルテミス計画」で月の上空に設置される基地「ゲートウエー」への補給を担う。JAXAはISSへの実績を重ね、月への物資輸送につなげたい考えだ。

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