海自初、民間港で艦艇に実弾の搭載訓練――鹿児島市北ふ頭でイージス艦に対空ミサイル  狙いは緊急時の運用の柔軟性向上

2025/10/24 14:03
イージス艦あしがらに搭載される対空ミサイル=24日午前8時50分ごろ、鹿児島市の鹿児島港本港区北ふ頭
イージス艦あしがらに搭載される対空ミサイル=24日午前8時50分ごろ、鹿児島市の鹿児島港本港区北ふ頭
 鹿児島市の鹿児島港本港区北ふ頭で24日、海上自衛隊のイージス艦にミサイルを搭載する訓練があった。国内の民間港で海自の艦艇に実弾を搭載する訓練は初めて。有事や災害などの緊急時、民間港を使って柔軟に艦艇を運用する狙い。

 陸海空3自衛隊の統合演習の一環。佐世保基地所属(長崎県佐世保市)のイージス艦「あしがら」(全長165メートル、7750トン)が接岸した。弾薬は対空ミサイル2発で、敵のミサイルや航空機の迎撃を担う。

 訓練は午前8時ごろ始まった。あしがらに横付けした民間のクレーン車が、それぞれ長さ約10メートルの白い直方体の容器に入ったミサイルを慎重につり上げた。艦上では数人の隊員が待ち受け、甲板前方にある垂直発射装置へ1発ずつ納めた。

 ミサイルを載せたトラックは23日、長崎県の佐世保弾薬整備補給所を出発。訓練に合わせ、陸路で24日午前に北ふ頭へ着いた。あしがらは23日から寄港しており、25日に佐世保に戻る予定。

 海自は青森、神奈川、京都、広島、長崎に艦艇の拠点となる基地を持つ。通常はそれぞれの母港で弾薬を補給する。今回は、母港から離れて任務に当たる艦艇が、寄港しやすい位置にある民間港で弾薬を円滑に搭載できるか検証した。

 あしがら艦長の石川将司1等海佐は報道陣の取材に、「民間港で海自の艦艇に弾薬を搭載する訓練は初めて。作戦継続上、弾薬補給は一番のネックで、無事に終わりほっとした」と応じた。民間施設での訓練に反対の声もあることについては「訓練をすることで、すぐに攻撃対象になるとは思っていない。作戦や運用の柔軟性が増す選択肢の一つとして実施している」と話した。

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