川内原発に乾式貯蔵施設新設を申請 九州電力が350億円かけて整備、2027年10月着工目指す 使用済み核燃料の保管容量増やす

2025/10/25 11:55
使用済み燃料が入った金属容器を保管する建屋の概要図(九州電力提供)
使用済み燃料が入った金属容器を保管する建屋の概要図(九州電力提供)
 九州電力は24日、川内原発(薩摩川内市)の使用済み核燃料の保管容量を増やすため敷地内に乾式貯蔵施設の新設を決め、国の原子力規制委員会に原子炉設置変更許可を申請した。整備費は約350億円で、2027年10月着工、29年度の運用開始を目指す。燃料を再処理工場(青森県六ケ所村)に搬出できない場合でも、1、2号機とも38年まで運転が可能となり、新たに7年間の稼働期間を確保することになると説明した。

 九電は鹿児島支店で会見を開き、担当者は「再処理工場の運転計画や川内の使用済み燃料の貯蔵状況を踏まえた。運転延長の認可を受けた60年まで、安全・安定運転を続けるために設置する」と述べた。

 川内で現在使用済み燃料を保管しているプールの貯蔵量は9月末時点で1号機7割、2号機8割。プールを共用化しても、31年に満杯となる見通し。再処理工場の完成が大幅に遅れる中、対応を迫られてきた。

 乾式施設は、プールで20年以上冷やした燃料を金属容器(キャスク)に移し、空気の自然対流で冷やす。建屋は1、2号機の近くに設ける。鉄筋コンクリート1棟で、床面積約1600平方メートル、高さ約15メートル。使用済み燃料28体を収容するキャスクを20基設置する。

 24日は九電の担当者が県庁と薩摩川内市役所を訪れ、安全協定に基づく事前協議書を提出した。対応した県原子力安全対策課は「引き続き安全性の確保に万全を期し、県民への分かりやすい情報発信に努めてほしい」と要望した。県や市は今後、県原子力専門委員会や国の審査を踏まえ、事前了承するか判断する。

 九電は県と市の了承が整備の前提との認識を示した上で、「ご理解いただけるよう丁寧な説明に努める」と答えた。

 原子力規制庁によると、原発敷地内の乾式施設整備の申請は川内で12カ所目。四国電力伊方原発(愛媛県)など3原発で既に運用されている。

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