4中学校を新設1校に統合…基本計画はできたけれど、開校時期「明示できない」――保護者説明会で不満や改善要求が相次ぐ 長島

2025/11/03 15:03
中学校の統合案について説明を聞く住民ら=10月22日、長島町の指江庁舎
中学校の統合案について説明を聞く住民ら=10月22日、長島町の指江庁舎
 鹿児島県長島町教育委員会は10月中旬から下旬にかけ、現在の鷹巣中に新設校を置く中学校再編の基本計画の詳細について、住民説明会を4地区で開いた。事業費が10億円増えることや、10路線12台を要するスクールバスの運転手と車両のめどが立たず、「開校時期を明示できない」ことを明らかにした。

 児童数減少のため鷹巣、川床、長島、平尾の4校を新設する1校に統合する計画。昨年7月に基本計画を策定した後、住民や教員らによるワークショップなどで細部を検討してきた。

 今回の説明会で教委は、設備の配置や費用について報告。事業費は約28億2500万円で、物価高騰を受けて当初案の18億2300万円から大幅に増えた。スクールバスでの通学時間は始発で片道13~51分を見込む。全路線で登校時1便、下校時は部活動生のために2便運行する。予備を含め12台の車両購入費は1億2000万円、人件費と車両維持費に年9470万円を要する。

 ただ民間バス会社が撤退し、町内で運転手を確保するのは難しい状況だ。教委はスクールバスを「統合の大前提」と位置付けていることから「必要な人員と車両確保のめどが立たず、開校時期を明示できない。運行は町長部局が責任をもって取り組む」と説明した。

 各会場で多くの保護者や住民が参加した。学校が遠くなる地区では、長時間となる登下校に不満が噴出。一方、中学進学を予定する児童の保護者からは早期決着を求める声も上がった。授業や部活動で周辺の体育施設を使う計画についても「暗い中を歩いて移動させるのは心配」「送迎する親には不便」と改善を求める意見も相次いだ。

 教委は12月1日までパブリックコメントを実施し、町総合教育会議や教育委員会を経て、町議会に提案する。否決された場合、長島高校跡地での統合案も検討する。

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