校庭に面した1号校舎は長さ95.9メートル。児童が急増した開校当初をしのばせる=鹿児島市の武岡小学校
標高107メートルの高台に立つ武岡小学校(鹿児島市)は、1号校舎から望む景色が自慢の一つ。<大空はるか 明けわたり 火の島のぞむ 丘の上>の歌い出し通りのパノラマが広がる。
校歌は開校翌年の77年9月に制定された。作詞は市町村歌や校歌を多数書いた内与詩守(よしもり)さん。「この景色を眺めてイメージを膨らませたのかも」と猿渡功校長(57)。作曲は、鹿児島作曲協会の兼廣晨史さんが手がけた。
1~3番とも<武岡小の 子どもです>で終わるのがユニークでかわいらしい。1、2番はよく学び元気に育つ姿、3番は参勤交代に使われた校区東端の水上坂(みっかんざか)に思いをはせ、未来を切り開くのは自分たちと歌い上げる。
80年代に「日本一のマンモス校」と呼ばれたが、児童数はピーク時の約1割に減り、65歳以上の校区住民は4割を超えた。開校時2年生だったクリーニング店主、大迫正明さん(54)は「武岡小は団地の歴史そのもの」と語る。
近年は、中心市街地に近いエリアとして転入が相次ぐ。大迫さんは「『武岡小の子どもです』と歌う子が増えてほしい」と願う。
●メモ 1976(昭和51)年に西田、原良、田上の3小学校から分離して開校。戸建てや市営住宅が続々完成し、81~87年度は児童数2000人を超えた。最も多かったのは84年度の2288人。89年に武岡台小と分かれた後は減り続け、現在は261人。
■鹿児島市立武岡小学校 校歌
作詞・内与詩守
作曲・兼廣晨史
一
大空はるか 明けわたり
火の島のぞむ 丘の上
大きな心 つなぎあい
すすんで学ぶ その姿
武岡小の 子どもです
二
みどりの樹々に 鳥もきて
季節の花が 咲きかおる
扇の庭で はねながら
すくすく強く のびてゆく
武岡小の 子どもです
三
むかしの夢を ふるさとを
水上坂が たたえてる
あらたな知恵を かさねつつ
日本のあすを ひらくもの
武岡小の 子どもです